コラム
2015.12.07
アメリカのクラフトビール文化 Part 2 (飲食店編)
Part 1(販売店)に続き、アメリカの飲食店のビール事情を紹介します。自身の経験談なので実際とは違う可能性もありますが、少しでもアメリカの雰囲気が伝わればと思います。
私がクラフトビールを飲み始めた2010年はビールを提供している飲食店の4割がクラフトビールを提供している状況でしたが、2015年は8割で飲むことができました。ふらっと入った、レストラン、ファースフード店、カフェの多くがクラフトビールを提供しています。
たまたまニューヨークで入った小さなピザ屋。以前だったらBudweiser、Corona、Coorsなどの大手ビールしか置いていないような場所でしたが、ここでもクラフトビールを飲むことができました。
ここ数年のアメリカのクラフトビールの流れは、本当にめまぐるしく変化しています。その理由の一つは、世界の大手ビール会社が積極的にアメリカのクラフトブルワリーを買収したり、業務提携を結んだりしているからです。大手ビール会社は中小のブルワリーよりも販売ルートが確立されています。大手のビール会社は自社のビールが売れなくなっている現在、売れるビールを積極的に契約し、持っている販売ルートを使って販売しています。そのため今まで見なかったレストラン、ファーストフード、娯楽施設などで見かけることが多くなったのです。
日本でも最近話題になったのが、日本のクラフトブルワリーヤッホーブルーイングとキリンの業務提携です。これによって、コンビニやスーパーなどでヤッホーのビールを見かけることが増えました。
日本では最近になってやっとコンビニや酒屋でクラフトビールを販売するようになりましたが、アメリカではファーストフードの有名チェーン店がクラフトビールを提供しています。今年11月13日に日本大一号店を開いたニューヨーク州の大人気ハンバーガーショップ「シェイクシャック」では、同じくニューヨーク州で有名なクラフトブルワリー「ブルックリンブルワリー」と共同開発したビール「シャックマイスターエール」などを提供しています。ファーストフード店でビール、しかもそれがクラフトビール、日本も是非あとを追ってほしいところです。
クラフトビールがどこでも飲めることが当たり前になりつつあるアメリカですが、ローカルのビール好きはどんな場所で飲んでいるのでしょうか?
実は生産されている工場で直接飲んでいるのです。アメリカには3,500以上もブルワリー(日本は200前後)が存在し、大きな街の近くには必ず、レストランを主体に醸造を行っているブルーパブや醸造を主体にバーを設置しているブルワリーがあります。
少し話が長くなってしまいましたが、アメリカでは国産のクラフトビールを飲みたいと思ったら、スーパー、コンビニ、レストラン、カフェ、ファーストフード店など、どこでも飲めるようになっているのです。それによって生産者同士の競争力も上がり、より美味しいビールへの研究開発が日々行われています。日本でも今後このような展開になるのを、一消費者として願っています。
貴戸“トム”光彬
beer365代表。海外で18年間過ごし日本へ帰国。音楽業界で8年勤め、現在貿易関連会社勤務。2010年、仕事がきっかけでクラフトビールと出合う。日本地ビール協会( JCBA)認定ビアテイスター、ビアコーディネイター。