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コラム

2016.01.12

連載:ビアジャーナリスト・佐藤翔平のペアリング実験室02/ジャパニーズスパイスエール山椒

佐藤翔平 佐藤翔平

ビアジャーナリスト佐藤翔平が、ビールと料理のペアリングの相性を検証する連載第2回目。「世嬉の一酒造株式会社」の「いわて蔵ビール ジャパニーズスパイスエール山椒」は馨しい和のスパイスの香りに、優しいモルトの甘味と瑞々しい口当たりだ。あなたならどんな料理を合わせるだろうか?

山椒の上品さを最大限に引き出した一杯と共に

こんにちは。ビアジャーナリストの佐藤翔平です。前回の「シエラネバダ ペールエール」に続いて今回ご紹介するビールは、岩手県一関市にある世嬉の一酒造株式会社が造った「いわて蔵ビール ジャパニーズスパイスエール山椒」(以下、エール山椒)です。

同社は1918年(大正7年)創業の長い歴史を誇る酒造メーカー。1995年、岩手のクラフトビールとして「いわて蔵ビール」ブランドを展開しています。地元産の食材を使っている銘柄が多く、エール山椒は一関産の山椒の実が使われています。

まず、エール山椒が持つ味わいの特徴を挙げていきましょう。

①香りは山椒のアロマを強く感じる、非常にフルーティー。甘い柑橘系すら連想させる、透明感かつフレッシュな印象
②濃いゴールドの液体を一口飲むと、穏やかにモルトの甘味が広がる。ホップは控えめで、山椒は強すぎる印象はないが、存在感がある
③山椒のキャラクターが、まろやかながらもすっきりとした口当たりとバランスをとる。柑橘のような清涼感ある余韻

さぁ、ビールに合わせる料理は浮かびましたか?

夫婦仲が円満のペアリングでいきましょう

前回、ペアリングの心構えは『仲人になること』だと書きました。それを務める上で大事なのが、「理想の夫婦像」を描くこと。亭主関白なのか、かかあ天下なのか、それともおしどり夫婦がいいのか...。ビールと料理によって様々です。

このビールで大切にしたいのはやはり「繊細な山椒の風味」。これを殺さずに生かす伴侶(=料理)が必要です。お互いに対等な、おしどり夫婦のイメージ…。主張の強い料理は避けます。

エール山椒の特徴に合わせて、私ならこうアプローチしてみます。

①「フレッシュ、瑞々しい」特徴を持つ大根おろしを。エール山椒のアロマが柑橘にも似ていることを生かし、レモンを架け橋に使用
②ゴールド色系統のビールにはシンプルな味わいのものを。山椒に合わせて違和感のない和食の一品を考える
③まるみと瑞々しさ両方の特徴を持ち、山椒が負けない程度の濃さの食材…。浮かんだのは豆腐。ビールの余韻と面白い反応を期待

「揚げない揚げ出し豆腐」との相性は★★★★☆

以上をふまえ、今回提案したいペアリングは「揚げない揚げ出し豆腐〜黄身おろし添え〜」です!!

「いわて蔵ビール ジャパニーズスパイスエール山椒」×「揚げない揚げ出し豆腐〜黄身おろし添え〜」
「いわて蔵ビール ジャパニーズスパイスエール山椒」×「揚げない揚げ出し豆腐〜黄身おろし添え〜」

「揚げ」出しじゃないやん!とツッコミが聞こえてきそうですが...。フライパンで焼きながら外はカリッと、中はふんわり仕上げます。大根おろしに黄身を混ぜ合わせ、醤油とレモンをほんのりきかせた「特製黄身おろし」を添えて。熱々ジューシーとひんやり爽やかのギャップが次の一口を誘う一品です。

まず、揚げ出し豆腐を一口運びます。ふわふわな豆腐の食感とまろやかさ、そこに黄身おろしの酸味が効いてきます。大根おろしでさっぱりしながらも、バターにも似た芳醇な余韻。そこにエール山椒をすっと混ぜ合わせると...。

まろやかな余韻を残しつつも、山椒の華やかさでキリリ、味の変化にリズムがつきます。大豆の旨味をホップの苦味が引き立て、大豆本来の風味が活きた、香り高いお豆腐をいただいているような感覚を覚えます。適度に油も洗い流され、山椒の香りが最大限に豆腐の味わいを引き出しました。これは...かなりいいぞ!! 星4.5寄りの★★★★☆です!!

うれしい誤算だったのは、おろしの中にある黄身が良い取り次ぎ役になっているということ。卵黄の柔らかな味わいとおろしの瑞々しさが、揚げ出し豆腐のクリーミーな食感とビールの清涼感を違和感なく調和させてくれています。実験成功!

揚げ出し豆腐にかかっている醤油ベースのお出汁だったら、どんなテイストが出てきたのでしょうか? 醤油の香りに山椒が負けるかな? こっちも気になってきました。

次回はちょっとおしゃれに、洋風なお料理と美しい女性のラベルのビールを合わせてみます。ご期待下さい。

【ビアプロフィール】
商品名 : いわて蔵ビール ジャパニーズスパイスエール山椒
アルコール度数 : 5.0%
原材料 : 大麦麦芽・ホップ・一関産山椒の実
醸造所 : 世嬉の一酒造株式会社(岩手県)
TEL : 0191-21-1144

揚げない揚げ出し豆腐〜黄身おろし添え〜
【材料】
絹豆腐 半丁
片栗粉 適量
万能ネギ 適量
〈黄身おろし〉
大根おろし 50g
卵黄 1個
レモン 1/4個
薄口醤油 15cc
【作り方】
1. 絹豆腐を2等分にして、ザルに置いて10〜30分ほど水を切る
2. 表面に片栗粉をまぶす
3. フライパンに軽く油を敷き、中火で表面(六面全て)をキツネ色に焼く
※トング等で優しくつかんで向きを変えると良い
4. ペーパーに10秒ほどさっと置き、網に移して余分な油と水分をとる
5. 4.のうちに、黄身おろしを作る。大根おろしに卵黄(ザルでこしながら)を混ぜ合わせ、薄口醤油とレモンで味を調える
6. 4.と5.を皿に盛り付け、万能ネギをふる
※厚揚げ豆腐でも美味。水、昆布と一緒に煮て油を抜くと良し。
※分量は目安です。お好みでご調整ください。

佐藤翔平

ビアジャーナリスト。酒類に詳しくなる為にビールから飲み歩き始め、その多様さに魅了される。飲食店勤務の傍らティスティングを行い、その記録は500を超える。JBCA認定ビアテイスター。ジャパンビアソムリエ協会(JBSA)認定ビアソムリエ。

  • 醸造所

    世嬉の一酒造株式会社

    世嬉の一酒造株式会社

    日本 岩手県一関市田村町5-42

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