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コラム

2019.11.01

【02】1 Day 1 Beer プロジェクト─南米ブラジルのビールを求めて

千田 晋 千田 晋

今回の2カ月間の旅行は訪問する国が多いため、大きな移動はできるだけ節約しようと思い、ブラジル・サンパウロまで韓国・ソウル、アメリカ・アトランタ経由の30時間を掛けたフライト。……節約のためとはいえ長い!

フライト中に韓国とアメリカ・アトランタの缶ビールを飲みながら、ようやくサンパウロに到着。

初めて訪れる国にテンションが上がります。それにしてもサンパウロはとにかくデカい街ですね!

 到着してまず、Uberの普及率の高さに驚きましたが、知らない街を散策するには本当に便利。サンパウロ市内の友達と再会しながら、早速色々と探索です。

@AMBAR Cervejas Artesanais

2016年にビアバーとしてオープンし、更に去年からブルワリーを持ち醸造も始めた「AMBAR Cervejas Artesanais」(以下、AMBAR)は、地元ブラジルのビールで15タップを占める、サンパウロで人気のビアスポット。「Cervejas」はポルトガル語で「ビール」、「Artesanais」は「手づくり」を意味します。
ブラジルらしい緩い空気感で、見聞きしたことのあるロゴが幾つも飾ってある店内は、現在のクラフトビアシーンを感じさせます。ここではハウスビールを早速飲んでみました。

■AMBER Cervejas Artesanais Call Me Juicy IPA / NE-IPA / Alc. 7.0% / IBU?

「サブロ」「シトラ」「エルドラド」という3種のホップのブレンディングによる、とてもドリンカブルなNE-IPA。ライトイエローな見た目から連想できるような爽快感のある柑橘系のアロマで、若干のココナッツ風味も感じることができます。

この他にもアンバーエールとIPAを飲みましたが、スタイルに忠実なテイストで、どれもクリーンなビールですね。

@CERVEJARIA CENTRAL

お次はサンパウロ市内にある、なんともオシャレなブルーパブへ。

市内中心部の入り込んだ場所に位置するCERVEJARIA CENTRAL(以下、CENTRAL)。「CERVEJARIA」はポルトガル語で「醸造所」です。
AMBARとは異なり、洗練さとリラックスな雰囲気が感じられる、モダンで都会的な雰囲気の場所ですね。ここでも色々と飲みましたが、印象に残ったのはこちらのビールです。

■CERVEJARIA CENTRAL Labirinto / ミルクスタウト / Alc. 7.3% / IBU30

シルキーな口当たりのボディは、どちらかというと軽めな印象。しかし、スタウトらしいリッチな焙煎香と甘味、そしてバニラを使用した風味がアクセント程度に感じられます。クリーンで丁寧に造っている印象ですね。

この他にはピルスナー、IPA、ヘイジーIPAとヴァイスを飲みましたが、AMBARのビール同様、CENTRALもボディが軽めでドリンカブルな志向のビールが多いようです。ブラジル人はやはり暑い気候の中で飲み易さを重視する傾向にあるのでしょうか。

あともう一点、日本のビアパブでも並び始めた発酵ドリンク「コンブチャ」があったのが印象的でした。

この日は時間が遅くブルワリーは閉まっていましたが、設備もまだ新しく、キレイに清掃されているようです。仕込釜のサイズはパッと見た感じで4-500Lでしょうか。

14タップのほとんどをハウスビールで占めるCENTRALのビールはどれもクリーンでスタイルに忠実ですが、ブルワリーのコンセプトや個性がビールから強く感じられない印象でした。でも基本的な醸造スキルはあると思うので、これからの発展・充実が期待できる楽しみな場所ですね。

どちらのお店もとても賑わっていて、サンパウロではクラフトビールが広く認知されているようです。

ブルワリーに関しても、今のクラフトビアシーンを感じさせる多種多様なスタイルを醸造していますが、まだ発展途上な印象を感じる分、これからの発展が期待できる、とても楽しみな街ですね! 

千田 晋

「Brewer's Beer Stand 34」オーナー。映画業界を経てクラフトビール業界入り。ブルワーとセールスに従事し、クラフトビアバーをオープン。海外在住時に魅了されたビールの自由さを、様々なカルチャーを交えて多くの人に伝えたい!