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コラム

2016.02.22

連載:ビアジャーナリスト・佐藤翔平のペアリング実験室05/富士桜高原麦酒 ラオホ

佐藤翔平 佐藤翔平

ビアジャーナリスト佐藤翔平が、ビールと料理のペアリングの相性を検証する連載、第5回目。「富士観光開発株式会社」の「富士桜高原麦酒 ラオホ」は、燻製の独特な風味を感じながらもホップの苦味が爽やかに効いている。あなたならどんな料理を合わせるだろうか?

富士桜高原麦酒 ラオホ
富士桜高原麦酒 ラオホ

ビギナーから通までおススメ! 燻製ビールの名品

今回ご紹介するビールは、「富士観光開発株式会社」の「富士桜高原麦酒 ラオホ」です。
「ラオホ」は「燻煙」という意味を持つビアスタイル。ドイツ・バンベルグ地方が発祥であり、製造過程で麦芽を燻すことによるスモーキーな味と香りが特徴です。国内で作られる数少ない銘柄の一つ、富士桜高原麦酒 ラオホ(以下、ラオホ)の品質は国内外問わずお墨付き。数々の品評会で毎年入賞を果たしている実力派です。

では、富士桜高原麦酒 ラオホが持つ味わいの特徴を挙げていきましょう。
①ブラウン色の液体からはブナの古木そのものを嗅いでいるような、生命感のある燻製香
②口に含めば、クリアなモルト風味とホップのほろ苦さ。そのホップの余韻を包むように、徐々に燻煙に近い味わいが広がり、鼻から抜ける
③喉をスムーズに抜けていく液体からは、しっかり燻した印象を感じ取ることができる

味と香りの関係を知るとペアリングはもっと楽しくなる

「シナジー・リアクション(=相乗反応)」という言葉をご存知でしょうか。特定の香りや味の組み合わせによって、その印象に違いが生まれます。醤油などに含まれるメラノイジン(※1)や、燻製時に付着する焦げ臭は「甘味にコクや奥行き等をもたらす」と言われています。また、
①「類似の香りが一緒になると、そのレベルは飛躍的に強まる」
②「異なる香りを順番に受けると、二番目に受けた香りをより強く感じる」
ということも発見されています(※2)。

以上を考慮に入れ、ラオホの特徴に合わせて、私はこうアプローチしてみます。
①同じく燻製を用いた料理で同調を図る。燻臭くなりすぎないよう、料理の燻製香は控えめか、素材の味にアクセントを添える程度に
②ホップの苦味が程よく利いているので、甘味や旨味のある素材を合わせてみる
③「濃厚で旨みのある素材」からゆで玉子を連想。ラオホのスムーズな飲み口がゆで玉子のほろほろとしたのどの通りを良くすることを期待

さぁ、ビールに合わせる料理は浮かびましたか?

「ネギ味玉の燻製」との相性は★★★★★

今回のペアリングは「ネギ味玉の燻製」です!!

味付き玉子を燻製している様子。キッチン用品で簡単にできます
味付き玉子を燻製している様子。キッチン用品で簡単にできます

味付き玉子をサクラチップで燻製。余韻の長い燻した香りにキレのある白髪ネギの味わいでメリハリをつけてみました。玉子の濃厚な風味に醤油のコクとみりんの甘味。次第にネギのシャキシャキした食感と共に辛みのある香りが開き、口当たりと鮮烈な香りのギャップが次の一口を誘います。

ネギ味玉を口に含んだ後、富士桜高原麦酒 ラオホを一口。...驚きました! ビールと料理双方の燻製香はもちろん、味玉子やネギの香りも含め、全てが一体渾然とした印象です。飲み終えると舌に味玉子の味わいとモルトの甘味が強く広がり、その後に残るネギの余韻が次の一口を誘います。

醤油に含まれるメラノイジンが、タマゴの旨味とモルトの甘味を引き出したようです。同時に燻製香がタマゴやネギの硫黄系の香りをマスキング。燻製香をベースにタマゴの濃厚な味わい・ホップの苦味・ネギの風味を明確に感じることができます。まさに素晴らしいオーケストラ。文句なしの★★★★★です!!

「富士桜高原麦酒 ラオホ」×「ネギ味玉の燻製」
「富士桜高原麦酒 ラオホ」×「ネギ味玉の燻製」
ラオホには同じく深くローストした味わいを持つチョコレートを合わせても相性が良さそうです。ウィスキーのスモーキーな風味とモルトの味わいもプラスすると考えて…。ウィスキーボンボンをつまみながら、なんていかがでしょうか?

次回は最終回。私がビールにはまった「きっかけビール」とのペアリングを試みます。ご期待ください。 

※1食品中のアミノ酸と糖から生成される褐色の色素成分。加熱や発酵により生じ、味噌や醤油等に含まれる。
※2 メイルガードの法則より。その他に「異なる香りが一緒になっても、そのレベルはほとんど変わらない」ということも定義されている。

【ビアプロフィール】
商品名 : 富士桜高原麦酒 ラオホ
アルコール度数 : 5.5%
原材料 : 麦芽・ホップ
醸造所:富士観光開発株式会社
問い合わせ先:0555-83-2236

■ネギ味玉の燻製
【材料】
卵(L) 一個(ウズラなら5個ほど)
濃口醤油 30cc
料理酒 50cc
本みりん 50cc
スモークチップ(さくら) 適量
白髪ネギ 適量

【作り方】
1. 鍋に湯を沸かし、沸騰したら弱火にして卵を茹でる
2. 8分ほどしたら卵を冷水で急冷し、10分ほどしたら殻を剥く
3. 日本酒、本みりんを小鍋に入れ、煮切る
※アルコール分を適度に飛ばすこと。中〜強火で火にかけ、水面がぶつぶつきたら鍋を傾けると引火し燃え上がる。火が収まったら完成(この量であればそこまで高くは燃え上がりませんが、引火物や火傷に注意して下さい)
4. 3.に醤油を合わせ、冷めたら密閉袋に茹でた卵とともに空気を抜いて漬ける(一晩ほど)
5. アルミホイルで皿を作り、スモークチップを一面に散らす。それをフライパンにおき、強火で熱を入れる
6. チップからうっすら煙と香りが出てきたら中火程に弱め、網を乗せる。水分を拭き取った卵を乗せ、ボウルでふたをし、30分ほど香りがつくまで燻す
7. ネギを千切りにし、冷水につけ辛味をほどよく抜いておく
8. 卵を食べやすい大きさに切り、白髪ネギを散らして完成
※分量は目安です。お好みでご調整ください。

【参考資料】
食とビールの専門家 ビア・コーディネイター認定講習会テキスト『ビールと料理の“マリアージュ” 〜味と香りの“シナジー・リアクション”を考える〜』(クラフトビア アソシエーション刊)

佐藤翔平

ビアジャーナリスト。酒類に詳しくなる為にビールから飲み歩き始め、その多様さに魅了される。飲食店勤務の傍らティスティングを行い、その記録は500を超える。JBCA認定ビアテイスター。ジャパンビアソムリエ協会(JBSA)認定ビアソムリエ。

  • 醸造所

    富士桜高原麦酒

    富士桜高原麦酒

    日本 山梨県南都留郡富士河口湖町船津6663-1

    0555-83-2236

    富士桜高原麦酒は、富士山から十数年の歳月をかけて湧出する貴重な伏流水「富士桜命水」を使用し、ドイツでも数少ない国家認定校で百年以上の歴史と多...

    詳しくはこちら