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beer365 magazine ビアサンロクゴ

コラム

2018.01.15

世界一周ビアライゼ vol.14 ─モロッコ02─

若松 節 若松 節

ビアフォトグラファー、若松節が世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴るビアコラム。モロッコに来たらもちろん、極めてフォトジェニックなあの場所へ。目の前には絶景が広がっていた……が、肝心のビールはいかに?

Today’s Beer

名前 / スタイル:Flag Special, Flag Pils, Casablanca, Kania / Pale Lager
産地/醸造所:モロッコ / Société des Brasseries du Maroc (Heineken)
度数:Special-5.2%, Pils-4.7%, Kania-4.7%
色:クリアイエロー
ボディ:ライト〜ミディアム
テイスティングノート:モロッコビールオールスターズ!際立ったアロマ、フレーバーは無いものの、いわゆる東南アジア系ビールに比べモルト、スイートコーンのような穀物系の甘味を感じる。モロッコの場所がヨーロッパに近いことがそうさせるのだろうか? Special<Pils<Kaniaの順にモルト感と甘みが強くなる。キレは良く、モロッコ料理の脂っこさやスパイスの香りをすっきりとさせる。Flag Special ─モロッコは海産物が美味しく、弾力のある白身魚のフライ、カラマリリングなどと抜群の相性を発揮する。Flag Pils, Flag Kania ─タジン、タンジーヤなど煮込み系の料理、+パンとの相性良し!

マジでもうドラクエ!! 現実にこんな景色があるなんて

時を少し遡りモロッコ2日目。せっかくやってきたマラケシュを堪能する間もなく(数日後に戻ってくることにはなるが)、私はすぐさま移動を開始した。バスで片道12時間の長距離移動。目指す地はメルズーガ。そこにはモロッコと言えば! なモノがある。そう、サハラだ。絶対に行きたかった場所の1つ。ちなみによくサハラ砂漠と呼ぶ人もいるが、サハラはアラビア語で“砂漠”の意。頭痛が痛い、みたいになるから注意しよう(笑)。

長距離とはいえ、乗り換えもなくずっと同じバスに乗ってるだけで着くとは楽なもんだ。隣に座ったモロッコ人の女の子とお喋りしたり、おっちゃんにビスケットをもらったり、面白いことの1つや2つは当たり前に起こりつつ、サハラへ到着。
砂と空しかない。360°見渡す限り全部がそうだ。そして気温は日中50℃近くまであがる。こんな環境の中、4時間程かけて砂漠の民の村へ行く。私はラクダに乗ってるが、ラクダ使いは徒歩。このクソ熱く、足元悪すぎなところを。ハンパねー!!

ラクダの乗り心地はお世辞にも良くはない。が、そんなこと微塵にでも思ったら申し訳なさすぎる。ラクダは楽だ(笑)。

ふと、ラクダ使いに話しかける。

「どこに向かってるの?」
「砂漠の民の村だよ」
「いや、わかるけど。目印は?」
「砂の山が何個もあるだろ? それだ」
「は? 全部一緒じゃん。村どこ?」
「2個目の山を右に曲がる。しばらく行くと枯れた木があるからそこを左に〜…」
「?!」

村までの詳しい説明なんてもちろん覚えていない。が、「近くにコンビニあります?」「次の角右に曲がって信号の前だよ」くらいな軽いノリでとんでもないことを教えてくれたことは確かだ。

ここで誤算があった。ビールが無い! いや、砂漠に無いのは分かるのだが、道中のどこかでボトルの1本くらい手に入るだろうと思っていたのだ。しかし、どこにも無い! モロッコのお酒事情なんて全然知らず、2日目にして砂漠を目指したことに少し後悔をした。こんな抜群のロケーションでビアフォトが撮れないなんて。
仕方ないので水で。あー、これがビールだったらどれだけ良かったことか(笑)。

砂漠の真ん中に急に家があるのにはビックリする。そしてちゃんと辿り着けるラクダ使いのおじさん。

絶景とビールの共存の難しさを教えてくれたサハラ。どんな時もボトルは持ち歩こう(笑)。

砂漠にて2泊。乾き切った喉。ビールが欲しい。ビールが欲しい。ビールが欲しい。その思いと共にマラケシュへ戻った。

Today’s Beerの写真。砂漠からの戦利品(笑)。こんな宝箱が落ちてたらなー、もちろんキンッキンに冷えたやつ! っと思いながら撮影。 

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若松 節

1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。