コラム
2018.01.01
世界一周ビアライゼ vol.12─ミャンマー04─
ビアフォトグラファー、若松節が、世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴る連載。今回でミャンマーが最終日。バガンを自転車で遺跡巡り中、まさかの再会が待っていた! 歴史的にも文化的にもビール的にも面白かったミャンマー、そして旅の面白さも改めて教えてくれたミャンマー、最終日。
Today’s Beer
名前 /スタイル:ANDAMAN GOLD, ANDAMAN GOLD SPECIAL / Lager
産地 / 醸造所:ミャンマー / Myanmar Brewery and Distillery
度数:5%, 6.5%
色:金色
ボディ:ライト〜ミディアム
テイスティングノート:ミャンマービールと同じく、ミャンマーブルワリーから出ているビール。他のミャンマー産ビールと比べ強い苦味と、しっかりとした穀物感を感じる。SPECIAL(赤い缶)が特に。後味爽やかなビールが多いミャンマーで一番クセのあるビールかもしれない。苦味を求める人には、ぜひ試してもらいたい。ミャンマーの料理には、シンプルな味付けのホルモン煮込みのようなものがある。なかなかにケモノ臭かったりもするのだが、このANDAMANはその料理との相性が良さそうだ。ちなみに「アンダマン」とはインド洋縁海の海の名前。アンダマン海のリゾート地としてはプーケットやランカウイ島などが有名だ。
<眺望、サンセット、そして再開>
バガンの遺跡巡りは自転車や原付で行うのが定番。町のあちらこちらにレンタル店があり、私は自転車で回ることにした。郊外に行くと遺跡たちが迎えてくれる。これまた圧巻な。これまでの寺院やパダゴのような金ピカなものではなく、11世紀から13世紀頃に建てられたクラシカルなもの。本来は漆喰により仕上げられ鮮かな白色をしているが、今ではそれもはがれ落ち、煉瓦の赤茶色の外観となっているようだ。
大きな寺院の上から。写真中央、大きな建物が「タビィニュ寺院」という、バガンで一番高さのある寺院。階段で上まで登れる寺院もいくつもあり、その上からは広大な土地に点在するパゴダが一望できる。この景色こそがバガンの代名詞でもあり、日本では考えられないスケール感を味わうことができる。主要な遺跡たちを見てまわり、夕暮れ前にサンセットの名所であるシュエサンドー・パヤーに向かう。この上から見るサンセットが有名。
頂上付近にてサンセット待ちをしていると、同世代の日本人男性と出会う。話しかけて見ると彼も同じく世界一周中のようだ。
「ミャンマーに来る前にはどこにいたの?」
「え? オーストラリア?」
「メルボルン? 一緒じゃん! いつ?」
「1月2月あたり。同じ時期!」
と、メルボルントークに花が咲く。お互いに何やら不思議な懐かしさを感じる。
「そーいえばさ、全豪オープン見た?」
「見た見た。決勝は外のモニターで」
「芝生の上の方? 屋台近くの」
「そう。ん?」
「もしかして……」
「あーーーー!!」
そう、私と彼はメルボルンで一度会っていたのだ。全豪オープンテニスの決勝戦。広場に特設されたスクリーンでの観戦中に出会っていた。まさかその半年後に、オーストラリアでも日本でもない場所でまた偶然出会うことになるとは。これだから旅は面白い。歴史的にも文化的にもビール的にも面白かったミャンマー、そして旅の面白さも改めて教えてくれたミャンマー。名残惜しさは感じつつも、また次の国へ飛び立つ。
チャノー ミャンマーピーゴー チャアイッテー。トゥワードー メーノー!(私はミャンマーが好きです。バイバイ!)
<おまけ>チャイティーヨーのゴールデンロック。ここもまた面白い場所なのだが、今回は割愛。ちなみに、このお寺でビール写真を撮ってたら、警備員に囲まれてカメラもビールも没収されてパスポート見せろって言われて写真も撮られて強制退場させられた(カメラはデータ削除後に返してくれました笑)。
若松 節
1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。