コラム
2018.02.12
世界一周ビアライゼ vol.18─チェコ03─
ビアフォトグラファー、若松節が世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴る連載。チェコと言えばピルスナー、ピルスナーと言えば「ウルケル」。「チェコ中で一番美味しい」と評判の高いウルケルが飲める場所「U Zlateho Tygra(ウ・ズラテホ・ティグラ)」でナズドラビィ(乾杯)!
Today’s Beer
名前 / スタイル: Krušovice Pšeničné / German Hefeweizen
国 / 醸造所:チェコ / Královský pivovar Krušovice (Heineken)
アルコール度数:4.6%
色:クラウディイエローゴールデン
ボディ:ミディアム
テイスティングノート:白濁りした黄金色に、きめ細かいクリーミーな泡。バナナのようなアロマにクローブがキリッ、という、いかにもなヘーフェヴァイツェン! を軸にしっかりと持ちながら、後から香るオレンジのようなシトラス系のアロマがなんとも爽やか。この爽やかさのおかげで、飽きることなくゴクゴク飲んでしまう逸品。
Na zdraví!(ナズドラビィ!) ─乾杯! in Czech
チェコのおっちゃん達と飲み交わす。正直、何を話したか詳しくは覚えていない。この店のおすすめメニューや、近場のおすすめスポットについて、そして私の隣のおっちゃんが『ポケモンGO』に夢中だった。そんな他愛もないひと時。念願叶って来ることのできたこの場の雰囲気と相まって、ただただ、めちゃくちゃ楽しかったことだけはハッキリと覚えている。
ここは「U Zlateho Tygra(ウ・ズラテホ・ティグラ)」。直訳すると“黄金の虎”。プラハで一番美味しいピルスナー「ウルケル」が飲めると評判の店だ。行かないわけにはいかない!
18時過ぎ、店に入ると既にもう満席。廊下で30分程待ち、ようやく中に入るも席は無い。お店の人も案内はしてくれない。忙しそうで、声をかけてもあしらわれる。呆然と立ち尽くす。どうしたものか。
「えーい、ここまで入れたんだ、立ってでも飲む!」と、タップを注いでる(一見強面の)店員さんへ話しかける。すると、煙ったい表情で「まずは座れ」と。どうやら立ち飲みのシステムはないようだ。しばらく経ち、椅子が空く。すかさずそこへ座る。すると間も無くしてウルケルが自動的に運ばれてきた。よくはわからないがまぁいい、とりあえず飲む。
美味い……。
日本でよく飲むビールより少しぬるめ、そのせいか、いつもよりモルトのアロマが際立っている。ウルケルを美味しく飲むためには〝これ〟が適温なのだと思わせてくれる、それほどのアロマだ。
するーっと一杯を開けると、またまた自動的に運ばれてきた。周りを見渡し、ようやくシステムを理解する。要はあれだ! わんこそば! ジョッキが空くとオートチャージ、もういらない場合にはコースターで蓋をする。そんなシステムのようだ。
2杯目も終わろうとしてきた頃、周りの目が変わる。序盤は「またミーハーな観光客か」くらいなテンションだったお店の人や地元客達、それが徐々に「おっ、こいつなかなか飲めるじゃん!」な目に変わってきた。その後は1枚目の写真をご参照ください(笑)。
自国のビールを美味しく飲んでいる、そんな観光客を見るのはやはり嬉しいようだ。おっちゃんに勧められたおすすめメニュー。生肉が食べられる幸せ。美味い! できれば醤油が欲しかったところではあるが。ケチャップとマスタード……、ハンバーガー味のユッケ(笑)。
とにもかくにも楽しく満足なプラハでの一夜。
そして翌日、いよいよ憧れのウルケル誕生の地へ向かった。
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若松 節
1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。