コラム
2018.01.22
世界一周ビアライゼ vol.15 ─モロッコ03─
ビアフォトグラファー、若松節が世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴る連載。砂漠帰りで一刻も早くビールで喉を潤したい、でもモロッコは禁酒の国……日中の気温40度の中で、モロッコでのビール探しが始まった。
Today’s Beer
名前 / スタイル:Flag Special / Pale Lager
国 / 醸造所:モロッコ / Société des Brasseries du Maroc (Heineken)
アルコール度数:5.2%
色:クリアイエロー
ボディ:ライト
テイスティングノート:モロッコの大衆的なビール。とても軽く、雑味のない味わい。程よく喉を刺激する炭酸加減。無限に飲めてしまいそうだと思えるほどに飽きのこないビールであり、最も飲まれているビールの一つなのも頷ける。“ブリワット”という、春巻きに似たモロッコ料理があるのだが、ブリワットとこのビールがよく合う。是非ともこの組み合わせを試してほしい。
(ブリワット:クミンやコリアンダーなどのスパイスで味付けをしたひき肉と玉ねぎを、薄い皮に包んで揚げた料理。サクサクした皮とスパイシーなひき肉、肉汁がたまらない)
<砂漠から帰還、ビールをゲットできた場所は……>
サハラからマラケシュへ帰還。3日ぶりのシャワー。温度とか水圧とかそんなものはどうでもいい。ただ、水が出ることに感謝する。
町に繰り出す。モロッコ人は陽気な人が多い。日本人が珍しいのか、商売っ気が強いのか、とにかくパワフルに満面の笑みで話しかけてくる。毎日のように飲んでたフレッシュジュース屋さん。ジャマ・エル・フナ(マラケシュメディナ中心の広場)に数多く立ち並ぶ屋台、ジュース屋さんだけでも20軒近くあるのだが、このNo.50がお気に入り(全屋台にNo.が付いている)♪ 味も値段もお兄さんもとてもいい感じ。昼間は割と静か。どこのお店もそうなのだが、11〜15時くらいの時間帯は店を閉める。なんせ、とにかく暑い! 40度近くは当たり前。動く気なんかしない。
それはそうと、ビールはどこで買えるのだろう? もう1週間程飲んでいない。おまけにこの暑さだ、さらにビール恋しさが刺激される。ジュース屋さんや、観光客の多いレストラン、さまざまなところに聞いてみたがどこにもない。
このあたりでは飲めないのか? 早くもモロッコを出るしかないのか? そう思いながらも情報を探し続けた。
ついに、有力な情報をゲット。新市街に行けば手に入ると。さっそくタクシーを拾い新市街へ。新市街は普通に都会! モロッコ感無し。ZARAとかあるし。おしゃれなカフェに、ショッピングモールの地下には大きな食料品売り場がある。これは期待が高まる。
私が発見できた、ビールを売っている店舗は2軒。ショッピングモールの地下ともう一つ、路地裏にある小さな酒屋さん。ここの酒屋さんが面白く、また店主も私のことを面白がってくれたようで、モロッコのお酒事情を教えてくれた。
「お酒はむき出しで持ち歩くな。必ず何かで隠せ」「モロッコ人もお酒は飲む。バレなきゃいいんだ」などなど。
お酒を売る側も買う側も、隠すことに慣れているのが面白かった。買ったらすぐカバンに入れたり、その場でラベルを剥がして何が入っているボトルか分からなくしたり。店主もレシートを渡したりはしない。そして夜になると、フナでは多くのテントが開き、ここは本当に同じ場所か? ってくらいに賑やかになる。タジンにクスクス、モロッコを代表とする料理に舌鼓をうった。中にはカタツムリや、羊の脳みそなど、珍しい食材の料理も。ゲテモノ好きにはたまらない♪ もちろん外でのお酒は禁止されているため、ビールはお預け。家に戻ってから……となる。
それにしてもかなり遅くまで賑わう屋台。24時をすぎても子供が普通に遊んでいるのには驚いた(笑)。
ちなみにメディナ内でも、西欧人が多く泊まるゲストハウスのようなところではお酒が買えるところも多い。どこの国にも探せば抜け道はあるようだ(笑)。
なんだかんだで1ヶ月もいたマラケシュ。そろそろ干からびてしまうそうなので、次の国を目指す。世界一のビール大国と言われるあの国へ。
若松 節
1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。