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beer365 magazine ビアサンロクゴ

コラム

2018.03.05

世界一周ビアライゼ vol.21─ドイツ02─

若松 節 若松 節

ビアフォトグラファー、若松節が世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴る連載。万全の体調と大いなる期待感を携えて、長年憧れ続けてきた世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」でプロースト(乾杯)!

Today’s Beer

名前 / スタイル:Franziskaner Hefe-Weissbier / Hefeweizen
国 / 醸造所:ドイツ / Franziskaner
アルコール度数:5.0%
ボディ:ミディアム〜フル
テイスティングノート:完熟バナナのような香りが印象的な、小麦麦芽をふんだんに使った無濾過のヴァイス。他のヴァイスと比べオレンジがかった濃いめの色に、もっちりしたきめ細かい泡。もう見た目からして美味しい。バナナのような甘い味わいを軸に、柑橘系のフレーバーとクローブのスパイシーさがお互いを引き立て合う優秀なヴァイスビア。

正午の号砲とともにオクトーバーフェストがスタート!

オクトーバーフェスト初日の朝。身体はすこぶる調子がよい。ここ最近で一番じゃないか?と思うほどに。前日は前日で、初のドイツそして美味しいビールに浮かれそれなりの量を飲んだと言うのに。二日酔いの気配はゼロ。目覚めもすっきり。どうやら楽しみや期待と言うものは何物にも勝る回復剤の役割を果たすようだ。

そんな万全の体調ではあるが、天気はあいにくの雨。

会場となるのは「テレージエンヴィーゼ」という名の空き地。話には聞いていたがスケールの大きさにまず驚く。敷地はなんと東京ドームが9個も入るほどの広さだ。そして日本でやるオクトーバーフェストで見るテントとは比べ物にならないくらい巨大なサイズのテント。それが14個も。テントだけではなく観覧車やジェットコースターなどのアトラクション、遊園地も併設されている。

色々な誘惑がある中、まず目指すは「ハッカープショール」のテント。なぜなら、このテントこそがオクトーバーフェストの開始を告げる場所であるから。

開始は正午。ミュンヘン市長による挨拶と乾杯の合図、号砲と共にオクトーバーフェストは始まる。是非ともその開会式を見ようと、他には立ち寄らずハッカープショールへ。ちなみにテント内で飲むためには、予約をしておいた方がよい。ネットで見る情報でも、ドイツ人の友達の情報でも、予約なしにすぐ座ることは難しいと聞いていた。

そんな中、予約がとれずアポ無しで行った私たちだが、入場規制がかかる寸前のところで待たずしてテント内へ入ることができた。

さらに唯一空いていた席が、〝最後方ど真ん中〟という好条件。さらに、会場すべてが見渡せる席を確保するという奇跡!

乾杯の合図まで待つこと1時間。ついにマースを手に、ミュンヘン市長の合図とともに盛大に「プロースト(PROST)!!」あれ?樽割りの儀式は? 号砲は? と少し疑問に思いつつも、目の前にあるビールを飲みたい気持ち、そして場の雰囲気の楽しさにやられ、あまり深くは考えずに騒ぎ出す。

そう、実はテントを間違えた私。後日気付いたわけだが、開会式が行われるのは「シュパーテン」のテントだった。なんたる失態。せっかく初日に行ったのに。

念願叶った初のオクトーバーフェストだったのだが、物凄い忘れ物をしてきてしまった。数年後に必ずまた来てやる!

ちなみにテントを間違えなかったとしても、私が行った時間にはもう満員で入れなかったようだ。甘く見ていた…。次回は絶対に予約をしよう!

マースを手にご満悦の私。ここからはただひたすらにハシャギ倒した。色んな人と乾杯し、話し、もちろん地元ドイツの人達とも盛り上がった。
特に仲良くなった彼ら。ドルトムントから来たようだ。

「ドルトムントにも遊びにおいで」と言われたので後日行ってみたら、3日間家に泊めてくれた(笑)。

彼らに限らずドイツ人は優しい。というか、気が合う人が多い。世界各国旅をする中、なぜかどの国でもドイツ人と仲良くなることが多いのだ。

それにしてもドイツ人たちはよく飲む。

とあるドイツ人に言われた。「なんだ、それしか飲めないのか? ドイツでは平均6マースは飲むぞ。まぁ私は8は飲むけどな。こいつなんか10いくぞ!」。その日私が飲んだのは4マース。いや嘘でしょ、10マース=10リットルって…。

本場の雰囲気を存分に堪能し、ふらふらな足取りで宿に帰る。この日は泥のように眠った。 

<オクトーバーフェストを楽しむ為におさえておきたいポイント>

・複数人で行こう

一人で行ってももちろん美味しいビールは堪能できるが、オクトーバーフェストは飲んで歌って騒ぐイベント。複数人で行ったほうが絶対に楽しい。みんなで盛大にPROST!!しよう。

・宿の確保はお早めに

世界最大のビールの祭典だけあって、世界中からものすごい数の人が集まる。期間中に訪れる人はその数なんと600万人。宿はいくつあっても足りない状況だ。会場から近い人気の宿は4月頃から埋まり始める。私の友人は、直前に宿を取ろうとしたらどこも空きがなく会場まで電車で1時間のキャンプ場しか取れなかった。飲みすぎフラフラの状態でこの距離を帰るのは大変。宿は早めに確保しよう。私は6月には宿を確保。「Airbnb」を使用し、会場まで電車で15分程の家を丸々貸しきった。

・事前に席を予約して確保

今回私は運よく良い場所を確保できたが、確実に開会式を見たい、ゆっくり飲みたいのであれば事前に席を予約しよう。

・6つの公式ブルワリー

ミュンヘンのオクトーバーフェストに出店できるブルワリーは、以下の6つと決まっている。
Hacker-Pschorr(ハッカープショール)_Augustiner(アウグスティナー)/Spaten(シュパーテン)/Paulaner(パウラナー)/Hofbräu(ホフブロイ)/Löwenbräu(レーベンブロイ)
いずれも歴史の古い老舗ブルワリーだ。すべてのテントで飲み比べよう。
サイズはマース(1リットル)しか選べないため、そういった意味でも複数人で行った方が飲み比べが楽にできる。

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若松 節

1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。