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コラム

2018.02.19

世界一周ビアライゼ vol.19─チェコ04─

若松 節 若松 節

ビアフォトグラファー、若松節が世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴る連載。ついにピルスナーの生まれた土地、ピルゼンへ。「ピルスナー ウルケル」を生んだプルゼニュスキー・プラズドロイ醸造所でナズドラビィ(乾杯)!

Today’s Beer

名前 / スタイル: Pilsner Urquell / Czech Pilsner (Světlý)
国 / 醸造所:チェコ / Plzensky Prazdroj (Asahi)
アルコール度数:4.4%
色:ブライトゴールデン
ボディ:ミディアム
テイスティングノート:Great Beer! その一言だけでいいと思ってしまえる程に素晴しい。綺麗な金色に真っ白な泡、ホップの苦味、モルトの香ばしさ、シュワシュワな炭酸で爽快な喉越し、これぞビール!! と言いたくなるビール。“液体のパン”と例えられるのも納得するほどに、モルトをしっかりと感じられる。アロマにもフレーバーにも感じられるフランスパンの白い部分のような味わい。ヨーロッパ産ホップの少し強めの苦味がアクセントに。また、アルコール度数が4.4%と低いこともあり、飲み飽きることない喉越しでスルスル入る

ついに憧れのピルゼンへ

ピルスナーの生まれた場所。(日本では)「ビール」と言えば「ピルスナー」と言っても過言ではないだろう、そして、現在約150種あるビアスタイルの中から好きなものTOP5を選べと言われたら迷わずピルスナーを選ぶほどに、私自身もピルスナーが大好き。そしてそのピルスナーの起源とされる「ピルスナー ウルケル(ウルケルはドイツ語で“元祖”)」を生んだプルゼニュスキー・プラズドロイ醸造所へ来ることができるなんて、なんとも感慨深いものがある。

当然ながらウルケルは大好きなビールであり、私のお気に入りのビアTシャツにも、もちろんプリントされている。

醸造所のシンボルにもなっている醸造所の正門。これ! これ!! 今までボトル越しにしか見ることのできなかった景色、それが今目の前に広がっているなんて。鼻血が出そうなほどに興奮している。
敷地はかなり広く、ツアーは写真右に小さく見えているバスでの移動となる。まずビジターセンターで軽く説明を聞いた後にバスへ乗り、瓶詰めして製品にする工場や、地下の貯蔵庫などを回る。

1842年に誕生したウルケル。今でこそビールと言えばピルスナーをパッと想像してしまうが、当時はアルコール度数も高く苦味の強い、重めのエールビールが主流であった。そこへ誕生したピルスナーは、アルコール度数も苦味も抑えられスッキリとした飲み口、金色に輝く透き通った液体に純白の泡と見た目にも美しく、当時の人々に衝撃を与えた。そしてガラス製のグラスの普及とともに、世界中に爆発的に広まっていくことになる。

また、ウルケルの美味しさの根源には、ここピルゼンの地下水があること。地下100mから汲み出されるピルゼンの軟水がピルスナーに適していた、だからこそこれ程に美味しいウルケルが誕生した、と言うことは忘れてはいけないところだ。
ものすごく広い地下空間に熟成樽がズラーッっと!
ものすごく広い地下空間に熟成樽がズラーッっと!
お待ちかねの試飲タイム。なんとも趣のあるおっちゃんが樽から直接注いでくれる。
お待ちかねの試飲タイム。なんとも趣のあるおっちゃんが樽から直接注いでくれる。
写真を撮る前に、ピルゼンの地下水に想いを馳せることなどすっかり忘れて少し飲んでしまった。

少し白く曇っているのが分かるだろうか? 実はこれ、酵母を濾過する前の無濾過のウルケル。正真正銘ここでしか飲めない一品。コク、香り、なんとも重厚。雑味のない丸っこい味。後味にくる強目の苦味もなんともまた。ビール、ロケーション、ともに大満足な時間だった。

ツアー後は、醸造所の裏にあるビール博物館やピルゼンの街を楽しんだ。終始飲んでいたな。最後の最後までチェコを飲み尽くし夜行バスに乗り込んだ。世界最大のビールの祭典に参加するために国境を越える。 


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若松 節

1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。