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レシピ

2017.02.25

ガス調理・包丁一切使用なし!「簡単・速つま」ペアリング01

佐藤翔平 佐藤翔平

「コンビニやスーパーで手に入る」ビールと、極めて限られた調理器具で料理とのペアリングを紹介する本企画。仕事帰りに購入した食材とビールで、ワンランク上のペアリングが楽しめます。第1回目は「デュベル・モルドガット社」の定番銘柄「デュベル」。日本酒を思わせる華やかな香りと力強いアルコールの余韻に合わせる「速つま」、いかがですか?

■手に入りやすく手間をかけない、しかも美味しい食べ合わせ

お酒と料理とを食べ合わせることで、味わいの変化を楽しむことができる「フード・ペアリング」。ビール業界でもそれを意識したお店も増えてきています。ではお家ではどうか?自分で料理を考え、作って、組み合わせる...正直面倒で、どう組み合わせればよいかわからない人も多いのではないでしょうか。
「ビールとフードのペアリングを、もっとお手軽に楽しんでほしい!!」
そんな思いから、本企画では以下のルールに従ってペアリングを提案していきます。

1) 小売店やスーパーで見かけるような、全国的に広く普及しているビールと食材を使用
2) オーブントースターとレンジ以外の調理器具はいっさい使わない

皆様のご近所でも売っている素材で美味しい組み合わせをご紹介するとともに、その理由を解説します。

■高アルコールの生み出すキレのある味わいと芳醇な香り

第1回目に選んだのは、ベルギービール。「デュベル・モルドガット社」の定番銘柄「デュベル」です。「デュベル = 悪魔」の意味を持つ、ベルジャン・ストロング・ペールエールです。

このビールの特徴をおおまかにまとめてみました。

1.透き通ったゴールド色
2.スパイシー、フルーティーな風味
3.アルコールの香りも感じ、余韻にも辛味を伴うキレのある芳香がある
4.麦芽の甘味は比較的控えめ
5.グレープフルーツのような苦味
6.アルコールは強く感じるが、口当たりはドライで引きがよい

このビールのために考案した「速つま」をご覧ください!

■魚介の味わいが広がり、油分のコクが辛味と調和する「枝マヨちくわ」

使う食材は「枝豆」「ちくわ」「マヨネーズ」。もちろん公約通り、調理にまな板も包丁も、ガスも使いません。

ちぎったちくわに枝豆をつめ、
ちぎったちくわに枝豆をつめ、

マヨネーズでふたをします。お好みで粉チーズをふり、オーブンで7分ほど、マヨに少し照りができるまで焼き上げて...。
マヨネーズでふたをします。お好みで粉チーズをふり、オーブンで7分ほど、マヨに少し照りができるまで焼き上げて...。

これで、「枝マヨちくわ」完成です!!

【枝マヨちくわ 材料】
・むき枝豆 30g(皮付きの状態で)
・ちくわ 2本
・マヨネーズ 15g
・粉チーズ 適宜
※分量は目安です。お好みでご調整ください。
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まずは「枝マヨちくわ」を食べてみます。マヨネーズの塩味加減が魚介の旨味を引き立てます。チーズをかければなおマイルド。枝豆の食感と豆独特の香りがよいアクセントです。

そこに「デュベル」を口にふくみます。酒蒸ししたように、魚介の旨味とアルコールフレーバーが広がります。余韻はマヨネーズの酸味と油分のコクにより、ビールの苦味とアルコールの辛みが緩和。のどごしよくも落ち着いた味わいにまとまりました。

■要素を分解して考えると理解が深まります

今回の解説。なぜ「デュベル」に「枝マヨちくわ」を合わせたのか?ビールの特徴を要素として分解する
と、おのずと料理もどういったものがよいか見えてきます。

前回の連載同様、論理的に以下の仮説を立て実験してみました。

1.透き通ったゴールド色
 →同じく淡色のものが◎、調理によって香ばしい風味がついていないものをチョイス。
2.スパイシー、フルーティーな風味
 →淡白で、香辛料や果実味とあう白身魚、下処理の不要なちくわにしました。
3.その他にアルコールの香りも感じ、余韻にも辛味を伴うキレのある芳香がある
 →日本酒のような印象があるので、同じく日本人の慣れ親しんだ食材...「枝豆」でアクセント。
4.麦芽の甘味は比較的控えめ
 →甘味が引き立つよう、やや塩味のある味付けに。
5.グレープフルーツのような苦味
 →苦味で魚介の旨味を引き出しつつ、酸味で苦味の強さを着地させるイメージで作りました。
6.アルコールは強く感じるが、口当たりはドライで引きがよい
 →アルコールの力強さに負けない味の強さ...酸味も持つ「マヨネーズ」とでバランスを取りました。

いかがだったでしょうか? 食べてみると概ね仮説通りにマッチングした組み合わせになっています。マヨネーズは焦がさない程度に、油分を溶かしてあげるのがポイントです。今回は手順を省略していますが、マヨネーズと枝豆を練り込んだ白身魚のすり身を揚げると、マヨネーズの味わいがより均一に広がり、よりビールとマッチするかもしれません。 

【商品情報】
商品名:デュベル
生産国:ベルギー
醸造元:デュベル・モルトガット社
アルコール度数:8.5%
原材料:麦芽・ホップ・糖類・酵母
正規輸入代理店:小西酒造株式会社 072-782-5251(TEL・お客様相談室)

  • 醸造所

    DUVEL MOORTGAT

    DUVEL MOORTGAT

    ベルギー Breendonkdorp 58 Breendonk-Puurs

    +32-38-86-94-00

    ベルギー有数のブルワリー。1871年にヤン・レオナルド・モルトガットにより創業される。ベルギー北部のブレーンドンク村に設立される。1923年...

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  • 醸造所

    小西酒造株式会社

    小西酒造株式会社

    日本 兵庫県伊丹市中央3-4-15

    072-773-0524

    1550年に創業。伊丹で薬屋を営む小西新右衞門が始祖となり、濁酒造りを開始。 1995年に白雪ブルワリービレッジ長寿蔵を創設、ビールの醸造...

    詳しくはこちら

佐藤翔平

ビアジャーナリスト。酒類に詳しくなる為にビールから飲み歩き始め、その多様さに魅了される。飲食店勤務の傍らティスティングを行い、その記録は500を超える。JBCA認定ビアテイスター。ジャパンビアソムリエ協会(JBSA)認定ビアソムリエ。