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コラム

2018.03.26

世界一周ビアライゼ vol.24─ドイツ05─

若松 節 若松 節

ビアフォトグラファー、若松節が世界を回る旅で見つけたビールとの出会いを綴る連載。ケルン大聖堂に見惚れた後は、著者の「好きなビアスタイル Best5」に入る「ケルシュ」を〝椀子そば〟状態でプロースト!

Today’s Beer


名前 / スタイル: Früh Kölsch(フリュー ケルシュ) / ケルシュ
国 / 醸造所:ドイツ / Cölner Hofbräu P. Josef Früh
アルコール度数:4.8%
ボディ:ライト〜ミディアム
テイスティングコメント:ケルンの人々がこよなく愛する「ケルシュ」。中でも今回は日本でも見かける「フリュー」をピックアップ。明るい黄金色にフルーティーなアロマ、そしてなんといっても抜群の喉越し。エール酵母を使いながらも、ラガー酵母での発酵に近い低温で発酵させることにより、エールの華やかさとラガーのすっきりとした飲み口が共存する。ピルスナーを飲み慣れてる日本人にもウケが良さそう。日本でケルシュを飲む文化を作りたい!(背景:ケルン大聖堂とホーエンツォレルン橋)

ケルンでケルシュを堪能!

ベルリン、ハンブルク、ミュンヘンに次ぎ、ドイツで4番目に大きな都市、ケルン。第二次世界大戦時に市街のほどんとが破壊されたようであるが、現在では非常に多くの建造物が復元され、ケルンの町並みもまた新旧が織り交ざった独特な雰囲気を醸し出している。

そんな市街地で一際目をひき、圧倒的な存在感を放っている建物がある。ケルンのシンボルとも言えるケルン大聖堂(正式名:ザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂)だ。世界最大のゴシック様式の建造物であり、ユネスコ世界遺産に登録されている。
正面に立ち、大聖堂を見上げる。デカッ!! なんとも表現力が乏しいが、とにかくその一言につきる程大きく、高さは157mにもなる。そして全景を写真におさめるのに苦労する(笑)。

大聖堂を支える大きな石柱の堂々たるさま、細部まで施された彫刻、光を通し鮮やかに煌くステンドグラス、そのすべてに息を飲む。

いつもはサーっと流して見て回るようなところもケルン大聖堂は何かが違い、何をするわけでもなく礼拝堂で1時間くらいボーっと立ち尽くしていたのを覚えている。
予想外に感動し満足した大聖堂ではあるが、本題を忘れてはならない。

「私の好きなビアスタイルBest 5」にランクインする「ケルシュ」、ケルンに来た最大の目的はこれだ!

数あるビアスタイルの中でも珍しく、ケルシュは原産地統制呼称のビールである。また伝統と品質を守るために「ケルシュ協定」が定められており、この協定に調印している24の醸造所だけがケルシュと名乗るビールを造ることができる。仮に同じ製法でもケルン以外で作られたものは「ケルシュ風(スタイル)」となる。

ちなみにこのケルシュ協定が定められたのは1986年、私と同い年。そんなことからもケルシュには少し特別さを感じている。
 
さて、今回やってきたビアレストランは「Bierhaus en d’r Salzgass (ブラウハウス エンディエル ザイツガス)」。
Bierhaus en d’r Salzgass / Salzgasse 5, 50667 Cologne, North Rhine-Westphalia, Germany
Bierhaus en d’r Salzgass / Salzgasse 5, 50667 Cologne, North Rhine-Westphalia, Germany
ここで飲むことが出来る「Päffgen Kölsch (ペフゲン・ケルシュ)」は輸出されておらず、ケルンでしか飲めない、正真正銘・生のケルシュ!
さっそくグビっと! フルーティーなアロマに、軽い口当たり、のど越しの良さ。これこれ! これが飲みたかった。

他のビールでは見慣れないこのケルシュに欠かせない専用グラスは「シュタンゲ」と呼ばれ、200mlと小ぶりなサイズでサクッと飲み干せてしまう。これこそがケルシュの楽しみであり、ビールがぬるくなる前に飲み干せ、常にフレッシュなビールを飲め、ということだ。

そして飲み終わるとすぐに次が運ばれてくる〝椀子そばシステム〟。その度にコースターに線が書かれ杯数がカウントされていく。
ついつい飲みすぎてしまうこのシステムは、複数人の方が絶対楽しい、と思った私は同じく世界一周中の友達カップルとケルンで合流。半ばムリヤリに(笑)。そして本場のケルシュと豪華なドイツ料理を、心置きなく堪能した。
やはり、味・飲み方ともにケルシュが好きだ。いずれ日本でこのようにケルシュ(風)を楽しめるバーを作りたいと思っていたが、その気持ちが更に強くなった。

そんな夢に思いを馳せ、また次の土地へ。国境を越える。多種多様なビールを持ち、私が特に好きなあのビールが生まれた国へ。 

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若松 節

1986年、横浜生まれ。旅で出会ったビールをその土地の風景と共に写真におさめるビアフォトグラファー。24歳の時にビールの魅力に取り憑かれ、学生時代から好きだった旅にビールという楽しみが加わる。旅経験は国内全都道府県、海外は21ヶ国。「ビールは太る」と巷では言われるが、Bier loverたるものビールの量は減らさない! をモットーに、Bier loverの為のエクササイズ方法を考案中。